父が亡くなって六年目です。
あれから毎年、この夏はこせないかもしれない、この冬は越せないかもしれない・・と、言いながらまた何度目かの夏を迎えました。
そして今は、９１歳です。
私にとってはこの母が生きていてくれることが心の励みです。
私に似て？どこか鷹揚で楽天的な母のことを書きたくなりました。

８月８日(金)
気がついたらこんな日になってました。
３日はほとんど快晴・・真夏日で、無事発表会を終えました。
そんな暑い中、母はちゃんと来てくれて最初から最後まで観てくれました。
次の日、いただきもののお花やお菓子を持って行くと、「あのこは成長したね」「あの作品はよかったよ」といろいろ感想を言ってくれました。「あなたの今年の洋服は寂しかったね」とも言いました。
来年も母が来てくれることを祈りつつ、来年はハデな洋服にしようと思ったことでした。
8月9日(土)晴れ
母は能楽堂へ仕舞いを見にいく・・と言うことで、留守番に行きました。
らんちゃんが寂しがるから来てくれ・・と言う母の言葉に、まあ暇だから・・と快く返事したのですが・・
行くとすでに母は外出してて、らんちゃんの大歓迎を受けたのです、、玄関で・・
おお・・こんなに喜んでくれるなら来た甲斐があったなー　と思ったのですが・・
玄関から居間へ移動しても・・なんとらんちゃんはついてこないのです。
居間に座り「らんちゃーん」と呼んだのですが・・顔をみせません。
どうしたのかと仕方なくまた立ち上がって玄関まで見に行くと、なんと玄関の土間にドアの方を向いて座っているのです。
で、私の姿をみると寄ってきてちょっと遊ぶのですが、いくら居間に行こうといってもついてきません。
仕方なく私は玄関先で寝転がってらんちゃんの様子をみていたのですが・・
とうとう母が帰ってくるまで一度も居間には行かず、玄関だけ・・でした。
らんちゃんにとっては、母が命なんですねぇぇ　いざとなったら私になんか見向きもしない。
母が帰ってきてからそのことを話すと、「そんなことじゃ、私が死んだらどーするのよ」とらんちゃんに話しかけてましたが・・
私としては、死ぬこと考えるより、しっかり長生きしてもらいたんもんです。
8月10日(日)晴れ
今日はうなぎがあるから・・と、うな丼を作ってくれました。
実は、昨日も食べたのだけど・・そうは言わずに、「おいしいよ・・こう暑いとうなぎはいいよねー」と言っておきました。私はうなぎが好きだから、二日続いても別にかまわないんだけど・・
母は、チト、忘れっぽくなったかも・・
でも、それでもまだ私よりは記憶力はいいかもーーー
8月12日(火)
姉のダンナのお母さんの初盆で・・母を連れて姉の家におまいりに行きました。
私が実家に着いたときにはもうきれいにお化粧して、洋服も着替えて、準備万端ととのっておりました。
日頃は出不精なのに・・いざ出かけるとなると急に張り切ります。
姉の家でおまいりして、姉夫婦とおしゃべりをしたのですが・・話題はらんちゃんのことばかり・・。
姉の家にはミニダックスフンドのカローラちゃん・・がいるのですが・・
母の口ぶりは、どうみてもカローラちゃんよりらんちゃんのほうがきりょうがいいし、頭もいい、と言いたいようです。
いろんならんちゃんのエピソードを姉のダンナに話して聞かせてました。
また、それを姉ノダンナはにこにこ笑いながら、あいずちをうちながら、ずーっと聞いてあげてました。
姉と私はお互い顔を見合わせてにやっと笑ってみておりました。
こんな母をもつ私や姉も幸せですが、こうして母のことを気にかけてくれる姉のダンナ私のダンナがいることは母にとっても幸せなことだと感じました。
8月13日(水)
今日は実家で、久しぶりに父におまいりしました。
母は亭主関白だった父のことを普段はあまり良く言わないのですが・・それでも仏壇は毎日きれいにしてるようです。父は無神論者で、自分が死んでも仏壇はいらない・・と言ってたのですが、やっぱり母にしてみればそうはいかないから・・毎日手を合わせているようです。
8月14日(木)寒かった・・24℃ぐらいかな
お盆だけど、ダンナのお謡いの稽古はあるとかで、ダンナがいそいそと実家に行った。
お謡いの日の午前中ダンナはお謡いの予習か復習か知らないけど、蚊の鳴くような声で練習している。
あんなんで、母とどんな練習してるんだろと思うとおかしくなる。
まあ、母は私が行く時とちがってダンナが来ると思うとシャキッとしてるみたいだから・・ダンナのお謡いもまんざら捨てたものではないのかもしれない・・違った意味で・・。
８月１８日(月)晴れ・・夏らしくなってきた
ここ３日間福岡市バレエ協会の合同公演の練習のため実家にはほんのちょっと顔だすだけの日々だったのですが・・今日は夕方に終わって行ったのでちょっとゆっくりしてきました。
三日も会館にカンヅメで疲れたよー・・と母に言ったら・・「弱いねー　あなたもしょうこちゃん(妹)も・・・・まあ、それはお母さんのせいだけどね」と・・「え？なんで？」と聞くと「あなたがおなかにいる頃、ろくな食べ物なくてお母さんは半分栄養失調だったし・・生まれてからも配給があまりなくて、あなたに満足に食べさせられなかったから・・」そういえば、私が生まれたのは終戦一年前・・私には何の記憶もないけど・・両親はいろいろ苦労したんだろうな・・と思います。
でも、だからといってそれは母のせいでもなんでもない・・
母の前では弱音ははかないようにしなければ・・と反省しました。
８月２０日晴れ
今日の母はらんちゃんの自慢話しばっかり・・
庭に出て門の前をいろんな人や犬や猫が通るらしいのですが、それらに吠えまくって困るんだけど、門の入り口の取っ手をさわる人がいるときは、ワンワンと吠えたらすぐに母の所に知らせにくるそうです。
だから新聞や牛乳、クリーニングやさんはすぐにわかるんだそーです。
話し聞いてると私なんかよりずーっとらんちゃんの方が役にたってるような感じです。
８月２２日晴れ　猛暑
来月、姉と私は一緒にアメリカに行く予定なのだが・・まだ母に言ってない。
どういうふうに切り出そうかと姉と相談して・・福島の妹にその間こっちに来てもらうように頼もう・・という事になって、妹に電話したところ、「そのころなら暇だから行けるよ」とのこと。
姉と私は喜び勇んで母にアメリカ行きを報告した。そしてその間妹が来てくれることも・・
案の定、母は私たちのアメリカ行きのことより妹が里帰りすることに大喜び。
とりあえず作戦は成功しました。
８月２３日晴れ　猛猛暑・・あつい
リスがたぶんこれを読んでくれたんだと
思うけど・・
母のBFに立候補しようかな？
って言ってくれて・・
すごくうれしかったので・・
ちょっとの期間ここに母とらんちゃんを
載せることにしました。
この写真は今日撮ったものです。
8月29日晴れたり曇ったり
大牟田公演があって3日間実家にいけなかったので今日はゆっくりしてきました。
久しぶりに母の手料理で一緒に食事をしました。
トンカツとサラダと野菜炒めとスープ・・とってもおいしかった。まだ魚の煮付けがあるよ、とか、はるさめのなんとやらがあるよ、とか、色々言ったけど・・そんなには食べれないからと断るのが大変。
「今日は私が食事したから洗い物がたくさんあるから私が洗っていこうか？」と言ったら、「大丈夫よ、お皿が二枚増えるだけなんだから・・」そう言われるとすぐに「あらそう？」と、食器を流しに運ぶだけにしました。
せっかく母が私を喜ばせようとがんばってるから・・母の言うとおりにした方がいいかな・・って思ったからです。たぶん、私が喜べば父も喜んでる・・と思うのかもしれません。