「あら？」と言いながらお母さんがだっこしてた手をみたら・・なんと手の指に血がついていたのです。
びっくり仰天したお母さんはひめちゃんのお腹を調べてみると、おっぱいと右腕の間が腫れててそれがつぶれて血が出ていたのです。
お母さんはおおあわてでひめちゃんを病院に連れていきました。
それからです・・・ひめちゃんの病院通いと闘病生活がはじまったのは・・
ひめちゃんはお腹を切っておっぱいを全部とるという・・大手術をしたのです。
入院して5日目・・病院から電話があって・・ひめちゃんが全然何も食べない、このままでは死んでしまう、ひめちゃんが好きな食べ物をもって来てください・・ということでした。
お母さんはふるえながら・・ひめちゃんの好物の鳥のささ身とレバをゆでて・・泣きそうな顔しながら病院に行きました。ボクはお母さんが帰ってくるまで心配で心配で・・ケリーちゃんと、どうしようどうしよう・・とソワソワと待ってました。
帰ってきたお母さんの顔は・・にっこりしてたので・・「おお・・ひめちゃん、食べたんだ」と・・一安心。
「病院に行ったら、ひめちゃんが目を閉じて横になってて・・ひめちゃんって声かけたら・・うっすら目をあけて・・ほらひめちゃんっおかあさんよ、おいしいもの持ってきたよ・・と言うと首を少しもちあげてお母さんの顔をみたのよ。で、手の方も見たから、ひめちゃんの顔の前まで手を伸ばしたけど、最初は匂いをかいだだけで食べようとしなかったけど・・お母さんが、お願いっひめちゃん食べてって言ったら・・もう一度お母さんの顔を見上げて、それからぱくぱくと食べてくれたのよーっ」と、お母さんはいっきにおとうさんにまくしたててた。
それから3日後ひめちゃんは痛々しい姿で退院してきた。首にラッパのようなのをつけられて・・
しかし・・ひめちゃんはたくましかった。ボクらの同情なんて必要なかったかも・・
お医者さんにだめかもしれない・・と言われていたのに退院できたから、お母さんもお父さんも大喜びで、ひめちゃんには大甘になってしまった・・ボクはもともとひめちゃんには大甘だったけど・・
ひめちゃんは手術したのも忘れたかのように・・前と同じように家の中を闊歩し、大きなラッパのような首輪？を自分の首をしゃんっと伸ばして床につっかからないようにして行動した。
でも、12歳と言う年齢もあったと思うけど・・術後なにかといろいろ病気が出てきて・・ひめちゃんはほとんど毎日病院通いを余儀なくされた。
甘えん坊になったひめちゃんのためにお母さんはベットをやめてお布団を引いて、隣にひめちゃんの寝床を置いて毎日一緒に寝てました。
そんな生活が続く一年後・・13歳でひめちゃんはお母さんに抱かれたまま天国へいきました。
そしてその二年後・・ケリーちゃんも14歳で天国へ・・
ボクはひとりぼっちになってしまいました。
お父さん、お母さんをひとりじめにできても・・とっても寂しいです。
一緒に走り回る相手もいなくなり・・だんだん足が悪くなって・・とうとう歩けなくなってしまいました。しばらく前足だけで這うようにして移動してたのですが・・
お父さんは車椅子？を作ってくれたけど・・ボクにはどうしてもそれで歩くことはできませんでした。お父さんがせっかく作ってくれたから・・がんばって歩こうと思ったけど・・もうその頃は後ろ足だけでなく前足も力がなくなってたのです。
お母さんがいつもだっこしていろんなとこに連れて行ってくれました。
でも、そのうち這うことも出来なくなり、夜、寝てても寝返りもできなくなってしまった。
夜中に寝返りさせてほしくて鳴いて・・何度お母さんを起したことか・・
もうあんまり食事ものどを通らなくなったある日、お母さんはいつものようにスポイドで水を飲ませてくれて・・こたつの布団の上にボクを置き、「クチャ・・ピアノ聞かせてあげるね」と言いながらピアノを弾いてくれました。
時々間違えるお母さんのピアノ・・目を閉じて聞き入っていたら・・
気がついたら・・ボクは天国にいました。
お母さん・・・泣かないでね。
これからボクはひめちゃんや家族を探してくるからね・・そしてみんなでお母さんが来たときにお迎えするからね。
みんなを探すのに時間がかかると思うから・・ゆっくりこっちに来てね。
後記
家族だったクチャ一家・・クチャは17歳で天国に行きました。
この子たちのことを忘れないように・・
書きたくて・・パソコンを始めました。
今、ここにこうして窓ゆきが存在するのも・・この子たちのおかげです
２００４年１月２９日
音楽は 久遠寺 哲哉
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